【「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」評論】旧作をレガシーとして活かし、スパイダーマンの総括を敢然と成す!(映画.com)

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出典元:映画.com

「ライミはホラー出身の僕に道を示してくれたんだよ」

 アルフレッド・モリーナ演じるドクター・オクトパスがピーター・パーカー(トム・ホランド)の前に立ちはだかったとき、自分は過去にジョン・ワッツ監督に取材したさいのコメントを思い出し、こみ上げてくる感情が外へと漏れ落ちそうになった。ソニーピクチャーズがわずか20年間に2度も上書きしてきたスパイダーマンの世界。その下地にあるサム・ライミ監督の手がけた旧三部作(02?07)の要素が、歯車のひとつとして激しく物語を動かしていたからだ。

 MCUスパイディのソロ3本目となる今回は、マルチバース(多元宇宙)という設定を活かし、ライミ版三部作、ならびにアメイジング二部作(12?14)のスーパーヴィランたちが次元の異なる本作に登場となった。奇異極まるこの概念をアニメ「スパイダーマン:スパイダーバース」(18)で布石とし、ディズニーMCUからドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)を招き入れることで、違う空間が交わる機構を魔法で正当化させている。そしてそれぞれの世界で闇に堕ち、身を滅ぼしたヴィラン軍団を、自らのもとでは救済しようと試みるのだ。

 だが、この騒々しく場当たり的に思えた展開が、ピーターの正義行動への信念に残酷な形で試練を課していく。それが「スパイダーマン:ホームカミング」(17)から始まったMCUスパイディに万感胸に迫るほどの区切りを与え、延いてはスパイダーマンという存在そのものを総括するという、とてつもないスケールを同作にもたらす。また同時に、過去の三部作、二部作が抱えていた各々のジレンマにも良質な回答を与えていくのだ。結果として映画は「大いなる力には、大いなる責任がともなう」というタイトルキャラクターに通底する教訓を、より強固なものとして定義づけるのである。

 かつて「クラウン」(14)や「COP CAR コップ・カー」(15)を発表し、恐怖ジャンルを主戦場にしてきたワッツ監督いわく、「死霊のはらわた」(81)からスーパーヒーロー映画への階段を駆け上がってきたライミこそが、自身にとって永遠のヒーローだと賞賛を惜しまない。これまでのスパイダーマンが今日のための捨て石ではなく、レガシーとして威光を放つ存在であることを立証した今作は、まさに彼の言葉を体現している。スパイディの「親愛なる隣人」像は、こうした多様性をもって広く波及していることを大いに実感するのだ。

(尾崎一男)

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