今月のお笑い 3本目 ウエストランド井口と作家飯塚とダウ90000蓮見が語る「2022年7月のお笑い、どうだった?」(お笑いナタリー)

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出典元:お笑いナタリー

ウエストランド井口と構成作家・飯塚大悟が、独自の視点で1カ月ごとにお笑い界の出来事を振り返る連載「今月のお笑い」に初ゲストが登場。前回2人が羨望の的にしていたダウ90000の主宰・蓮見翔を迎えた。やはり聞きたいのは、ダウ90000が出場した「ABCお笑いグランプリ」にまつわるあれこれ。そのほか、出川哲朗の「プロフェッショナル」、注目を集めたライブ「2700八十島のメンタルの話」、吉住やオダウエダの単独ライブの感想、「ラヴィット!」ダブルグランドスラムを達成したなすなかにし、ハマカーン神田の「しくじり学園」などが話題に上った。要所要所で炸裂している井口の妬みをスパイスに、2ページにわたるおしゃべりをお楽しみあれ。

【動画】東野VSウエストランド井口(タイタン)(他4件)

構成 / 狩野有理
ヘッダーイラスト / 清野とおる

■ 初ゲストは“憧れの”ダウ90000蓮見
──今回は当連載の初ゲストとしてダウ90000の蓮見さんをお迎えしました。

飯塚 前回勝手に名前を出してしまってすみません!

蓮見 いやいやいや、ありがたかったです!

井口 ありがたかったの? 本当に? 僕は怖かったよ。怒りそうじゃん、そういうの。「お前に何がわかるんだ」とか言いそうじゃん。

蓮見 言いませんよ!(笑)

──蓮見さんは飯塚さんとはこれが初対面ということですが、井口さんとは?

蓮見 井口さんは、K-PROライブの楽屋で初めてお会いしたんですけど、すっごい話しかけてくださって。「さすらいラビーの中田とは仲良くするな」っていう話を初対面で20分くらいされました(笑)。

飯塚 それは簡潔に言うと、なんでなの?(笑)

井口 さすらいラビーの中田は人気者にすぐ寄っていくから、「あんな奴と話すな」って教えてあげたんです。

蓮見 その頃、僕らライブに出始めたばかりの時期で、楽屋には先輩しかいなくてメンバーで固まって隅っこにいるしかなかったんです。そんなときに話しかけてもらったので、井口さんにはめちゃくちゃいい人という印象があります。

飯塚 さすらいラビーの中田くんをダシにして、自分が人気者に近づこうとしてない?

井口 もちろんそうです。話すきっかけがなかったので。あるときから急にライブの香盤表で名前を見るようになったんだけど、元々は役者なんだっけ?

蓮見 大学の演劇サークルです。

飯塚 なんか、井口くんの先輩感がすごい!

井口 全後輩に一応偉そうにはするんですよ。ダウ90000にもそれをやっていいのかはちょっとまだ迷ってますけど。

蓮見 いいんです、いいんです(笑)。ただただ若手なので。

井口 ライブでイジったりとかしてもいいの?

蓮見 もちろん。お笑いライブに出ているくせに「役者なんであんまイジってこないでください」は意味がわからないので。

井口 ほかのメンバーはお笑いライブに出ることをどう思ってるの?

蓮見 喜んでますね。仮に彼らが役者として売れたときにお笑いライブを嫌がったら、僕はめちゃくちゃ怒ろうと思ってます。今はちゃんと出たくて出ている感じです。

飯塚 もし今後、メンバーそれぞれドラマで主演をやるくらい売れっ子になったときに、井口くんがまだその感じで行けるかどうかだよね。

井口 それはもう、お互いですよ。こっちはこの感じで行きますけど、蓮見くんがこの感じじゃなくなってたらすごい言います、みんなに。あいつ変わっちゃったよって。

飯塚 前回「ダウ90000はうらやましい」って話をしたけど、本人としては今難しいところにいるんじゃないですか? 褒められすぎて、恐縮疲れしていません?

蓮見 確かに、どういればいいかわからない場面は多いかもしれません。演劇もお笑いも両方やるって決めたときは、目立たずに、ギリ生活できるくらいになりたいなと思っていたんですよ。だから今すごく想定外で。じわじわ名前が知られて、気づいたら全国回れるようになっているというのが理想だったんですけど、そうなる前に東京の業界での知名度が上がってしまったなあと。

井口 褒められるばっかりっていうのは大変かもね。でも、こっちもムズいんだよ。悪口言いたいけど、怖いしさ。ファンも多いし。

蓮見 (笑)。いやでも、本当は井口さんにボロカスに言ってもらいたいです。

井口 本当に? 怒らないって約束してくれるなら言うけど……。

飯塚 じゃあ「ダウンタウンDX」(読売テレビ)も「呼ばれちゃった」みたいな感覚でした?

蓮見 そうですね。出たくはなかったです。お声がけいただいてもちろんうれしかったんですけど、僕らが今出ても何ができるわけでもないしなっていう思いはありました。

飯塚 井口くんは命がけで「ダウンタウンDX」出てたね。

※編集部注:ダウ90000は5月の「新世代のスターたち」の回、井口は7月の「世の中に対する不満」の回に出演。

井口 いや、そうですよ。ああいうのこそ僕はやらなきゃいけないんで。

蓮見 「ダウンタウンDX」と「マルコポロリ!」(関西テレビ)の井口さんめちゃくちゃ面白かったです!

■ 「ABCお笑いGP」芝居かコントか論争
──ここからは7月のお笑いを振り返っていきましょう。まずはダウ90000も出場した「ABCお笑いグランプリ」決勝の話をしましょうか。

飯塚 note読みましたよ。

蓮見 ありがとうございます。あれも、思ったよりアクセス数伸びちゃって嫌だったんです。

飯塚 あれはみんな読みますよ(笑)。気になりますもん。

蓮見 あのネタは僕らの中で一番コントだと思っていたので、「お芝居だ」と言われたことが本当に悔しくて書いたnoteなんですけど。

飯塚 単独ライブでやっていたネタの中だと、確かにあれが一番お笑いっぽいと思いました。わかりやすい、芸人が賞レースでかけるタイプのネタ。

蓮見 あれを「芝居だ」と言うのは、サッカー選手のネタを見て「これはサッカーだ」と言うのと変わらないんじゃないかとすら思えてきて。

井口 でも、それってダウ90000のバックボーンを知ってるから言ってるだけでしょ? ダウ90000が本当にただのお笑い芸人だったら「芝居だ」とは言われないような気がする。悪口の1個目というか、「はい、劇団の人たちね」の、うがった見方もあったんじゃないかな。「お芝居みたい」って一番言いやすいし、僕だったら言うもん。

蓮見 まあでも、何よりウケてなかったんですよね、会場で。気を使って言葉をかけるのに一番言いやすいフレーズだったというのはあると思います。

飯塚 自分の中で見たことがないものが出てきたときって知っている何かに当てはめたくはなるから、ああいう言葉を悪気なく使っちゃう人はいますよね。それとは別に、自分がわからないものが評価されているのを認めたくないっていう人もいる。マヂカルラブリーの「漫才か漫才じゃないか」論争も、自分にはわからないけどウケてる、評価されてるっていうことに納得できなくて「そもそも定義に合ってない!」とか言いたくなるんじゃないかなと思った。

井口 あと、別にいいですしね。お芝居だったとしても漫才じゃなかったとしても、面白ければなんでも。

蓮見 そうですよね。だから僕らがもっとウケたらよかった、ということに尽きると思ってます。

■ 芸人キャッチコピー騒動に震え上がる放送作家たち
──そして、優勝はカベポスターでした。

井口 飯塚さんは前回この連載でカベポスターの名前を挙げていましたよね。あれ? 「カベポスターが優勝する」って言ってましたっけ?

飯塚 「カベポスターが気になる」って、すごいぼかした(笑)。「絶対優勝です」とは言ってないけど、結果的に“当てた風”にするために「気になる」って言い方をしてる。

蓮見 敗退した人たちでカベポスターさんの2本目を楽屋で見ていたんですけど、「あ、これはもう……」っていう空気でした。会場もとんでもないくらいウケていて。

井口 へー。まだまだ面白いネタあるのかな。

──会見では「出し切った」とおっしゃっていましたが。

蓮見 スピードワゴンさんの「月曜The NIGHT」(ABEMA)でも、「20点差が付くならほかのネタやればよかった」って言ってました(笑)。

井口 本当であってほしいなあ。

飯塚 いいネタは消費しておいてほしい?(笑)

井口 もちろんですよ! これでまだ「M-1グランプリ」用に強いネタがあったらとてつもない。

飯塚 ……で、キャッチコピーの話はしておきます?

井口 キャッチコピーのことすごい言われてましたね。

飯塚 僕は賞レースのキャッチコピーを考える側だから、めちゃくちゃ怖くなった(笑)。次からハードル上がるなって放送作家全員震えてると思う。

蓮見 今までもキャッチコピーってありましたよね?

飯塚 ありました。去年のも調べてみましたけど、同じような感じでしたよ。きっとダウ90000を好きな人たちって感度が高いから、新しいグループに従来の感覚で考えたキャッチコピーを当てはめていることに違和感を覚えたんでしょうね。

──念のために紹介しておきますと、ダウ90000のキャッチコピーは「男女8人笑物語」でした。

蓮見 最初の話に戻っちゃいますけど、今まで全然イジってもらえなかったので、今回「ABC」で「お芝居だった」とか「男女8人笑物語」とか言ってもらえて、トータルでありがたい大会だったなと思います。

飯塚 「わら物語」なのか、「えみ物語」なのか。ナレーションがなかったから読み方もわからずじまい(笑)。

蓮見 読み方はメンバー間でも意見割れてました(笑)。

飯塚 今年の「R-1グランプリ」はキャッチコピーがありませんでしたよね。

井口 そうでしたっけ! あれがよかったのになー。ルシファーさんの。

飯塚 「輝け!コント男優」。

蓮見 ああーいいですね!

井口 そういうスマッシュヒットがたまに出てくるのが醍醐味じゃないですか。

蓮見 ウエストランドさんは「M-1」のキャッチコピーなんでした?

井口 「小市民怒涛の叫び」。僕だけのことだし。

蓮見 あはははは!(笑)

井口 でも、その人を表してるフレーズのほうが絶対いいよね。僕で言ったら「小市民怒涛の叫び」仕事も増えたと思うし、モグライダーもちゃんと「やんちゃ」仕事と「ぶきっちょ」仕事をやってるし、「50歳おバカの大冒険」(錦鯉)には「50歳おバカの大冒険」仕事があるだろうし。「男女8人笑物語」仕事があるのかはちょっとわかんないけど。

飯塚 ダウ90000は明日「キングオブコント」なんですよね。

※編集部注:取材は8月1日に実施。

蓮見 はい。2回戦です。

飯塚 前日にこの取材やってたせいで調子崩したら嫌だなあ。

井口 このせいでブレたみたいになってほしくないですね。全力で応援するしかない。

──昨年は意外なことに1回戦敗退でした。

蓮見 そうですね。そのときは10人組で出場していました。

井口 減ったの?

蓮見 今8人です。

井口 徐々に減っていくの?

蓮見 いや、もう減らないです!(笑)

井口 でもわかんなくない?

蓮見 もう減ってほしくないです、絶対。

井口 「M-1」のときは何人で出てるの?

蓮見 5人です。漫才は普段やっていないことなので変則的な形で出ています。

飯塚 今年「M-1」は出るんですか?

蓮見 出ないです。

井口 よし!

蓮見 (笑)。ただ、2回戦で落ちたら出るかも……。でも出るならまたネタを書かなきゃいけないので、できたら「キングオブコント」でいいところまで行きたい。

井口 まあまあ、行くっしょ! ダウ90000、準決行きますよ。って書いといてください。今度は僕が当てますから。

飯塚 いやいや、「準決勝行きます」は予想として中途半端じゃない?(笑)

井口 だって、来月答え合わせしたいじゃないですか! 決勝進出の結果は来月まだ出ないので。準決勝、決勝って徐々に予想を更新していきます。

飯塚 なんかずるいなあ。

■ 井口、賞レース出ないのに単独ライブやる芸人信じられない
井口 「キングオブコント」も「M-1」も予選が始まって7月は単独ラッシュ。飯塚さんは前回、単独をハシゴするって言っていましたよね。

飯塚 そうそう。吉住単独からオダウエダ単独を観に行った。どっちもめちゃくちゃ面白かったよ。吉住さんの単独は、東京03さんみたいにコントだけで全国を回れる人になるんだろうなって思うくらいすごくよかった。

──吉住さんとユニットを組んで「キングオブコント」挑戦中の岡野陽一さんの単独ライブも評判です。

飯塚 岡野さんは「キングオブコント」ファイナリストでもありますからね。

井口 巨匠で2回も決勝行ってる。別のコンビでも行ったら本当にすごいですよ。オダウエダ単独はどうでした?

飯塚 よかったよ。個人的に、これ「キングオブコント」の決勝でやってるところ見たいなーって思うネタもあったりして。「THE W」優勝したあと、忙しい中ネタは作れているのかなって勝手に心配していたけど、そんな心配は全然いらないくらい面白かったから、うれしくなった。

蓮見 やっぱりみなさん賞レースに合わせて単独のスケジュールを組んでいるんですね。

飯塚 ニューヨークもこの前単独ライブをやっていたけど、今年は賞レースに出ないって言っていますよね。

井口 えー。単独だけやるってすごい。信じられないけどな? なんでやってるんですか?

蓮見 あはははは(笑)。僕観に行ったんですけど、めちゃくちゃ面白かったです。

井口 なんでやってるか聞いた?

蓮見 聞かないですよ!

飯塚 井口くん的には賞レースのネタ作りっていう目的以外で単独をやる意味がわからない?(笑)

井口 はい。だって、しんどいじゃないですか単独って。それでもまだ新ネタをやっていきたいっていう意欲があるんだなあ。

飯塚 賞レースに向けたネタ作りと、それを1回忘れたネタ作りではだいぶ違うんじゃない?

井口 まあそうか。僕は毎月新ネタ2本やるライブをやっているんですけど、締切のためだけにやってるようなもんですよ。ちょうど先月、この取材の翌日がそのライブだったんですけど、ネタが1本もできていなくて。帰りの電車で飯塚さんに聞いて、そのときにできたネタを本当にやりましたから。マジで助かりました。

飯塚 3駅分くらいで考えたよね(笑)。

■ ダウ90000は滝に入るロケ断りません
──では蓮見さんの「今月のお笑い」を聞いてみましょう。

蓮見 観たテレビの話でもいいですか? 出川哲朗さんの「プロフェッショナル」(NHK総合)でめちゃくちゃ泣いちゃいました。

飯塚 どういうところがよかったですか?

蓮見 この番組って最後に「プロフェッショナルとは?」を聞くじゃないですか。で、そのシーンって絶対カッコよくなっちゃうと思うんですけど、それをさせないところがカッコよかったです。結局観ているこっちはカッコいいと思っちゃっているんですけど(笑)。カッコよくないカッコよさというか。リアクションは面白いし、言っていることは素敵だし、最初のシーンを回収するような言葉もあって、ものすごい映像で終わっていったのがめちゃくちゃカッコいいなと思って。

飯塚 僕は子供2人と一緒に観ていて、「滝に入ってる!」とかですごい盛り上がっちゃって集中できなかったんですよ(笑)。

蓮見 うわ、でもそれもすごいですね。子供も喜ぶっていう。

飯塚 3歳と5歳で、出川さんだとは認識していないと思いますけど、それでも通用する笑いなんですよね。

井口 蓮見くんは、そういう芸人魂的なものにもグッと来たりするの?

蓮見 憧れはあります。元々は芸人を目指していたので。「イロモネア」(TBS)がめちゃくちゃ好きだったんです。平場がものすごい面白くて。バナナマンさんやFUJIWARAさんが活躍しているのを見て憧れてはいたんですけど、こんなの自分には絶対できないなと思って、諦めて大学の映画学科に入りました。芸人は諦めましたけど、コントはやりたかったんですよね。だから、芸人じゃないけど舞台でコントをやらせてもらえている今はめちゃくちゃありがたい状態で。

飯塚 ネタと平場、全然種目が違うのにセットになっているのって、変と言えば変ですよね。

蓮見 もっと細かく職業を分けられそう。

飯塚 フワちゃんみたいな、YouTubeが人気でテレビでも活躍しているけどネタはやっていませんっていう芸人も出てきつつある。

──ネタと平場で職業が分けられることになったら、井口さんはネタをどうしますか?

井口 うーん。いや、やると思います。面倒くさいとは言いながら。「平場の専門職です」で出ていくのはさすがに怖いじゃないですか。

蓮見 保険がないと(笑)。

井口 「ネタもやってます!」とはしておきたいですね(笑)。

──ネタと平場がまだセットになっている今、滝に入るロケのオファーが来たら蓮見さんはどうしますか?

蓮見 断りたくはないです。「尖ってる」とかは言われたくなくて。ライブに出させてもらっている以上はそういう需要が生まれる可能性があるわけで、それを断るのは違うと思うんです。ただ、現状の僕が滝に打たれても絶対ウケないじゃないですか。かわいそうに見えて終わると思う。でも断りたくはないし、メンバーにもできたらやってほしいですね。強制はできないですけど。

■ 芸人界の風紀を守る野田クリスタル
──前回も話題に出た「芸人の結婚」。7月はマヂラブ村上さんが結婚されました。

井口 飯塚さんは大学お笑いのときからの友達ですもんね?

飯塚 鈴木くんね。僕は鈴木くんって呼んでますけど(笑)。

※編集部注:マヂカルラブリー村上の本名は鈴木崇裕。

飯塚 彼はくりぃむしちゅーのラジオとかめちゃくちゃ聴いていて、ラジオのヘビーリスナーだから、自分のラジオで報告したかっただろうなと思いました。

井口 撮られちゃったんでしたっけ?

飯塚 そうそう。「ラジオで発表する予定」みたいに書かれちゃって。それはかわいそうだった。マヂラブで言うと「水曜日のダウンタウン」(TBS)で「陰口引き出し王決定戦」のプレゼンターをやっていたじゃないですか。野田さんが、スタジオでもそうでしたけど、オンエアのあと自分のラジオでもフォローを入れていて。同じ芸人がああいうことになっていると心がキュってなる人なんだろうなと思いましたね。

──「R-1」の直後もご自身の配信やラジオで解説していましたね。

飯塚 正面から自分の思いで説明してくれて、お笑い界がうまく回るようにしてくれている。一方、ニューヨークの屋敷さんが屋敷さんなりの言い方でおかしなことを正そうとしているのもすごく好きで。直接的に「こうしましょう」とは言わないけど、「こういうのってどうなの?」と暗に伝えている感じ。

井口 野田さんって不思議ですよね。芸人同士でベタベタする感じはないけど、誰よりも仲間思いというか。芸人全体に愛がある。

飯塚 その結果、お見送り芸人しんいちくんの好感度だけ下がって、野田さんの好感度が上がるっていう(笑)。

井口 しんいちさんがどんどん下がってますね。久しぶりじゃないですか、ああいうダークヒーローが現れるの。ヒーローではないか、ただの悪人(笑)。もうちょっと嫌われないようにやらないと自分が持たなくなりそうですけど、全力でちゃんと嫌われているのはすごいと思います。裏返しで、悪役として好かれているってことでしょうし。

飯塚 悪役の仕事はたくさん来てるだろうね。

■ 井口、オズワルド伊藤もティモンディ高岸も全部うらやましい
井口 熱愛的なニュースだと、オズワルド伊藤と蛙亭イワクラさんが付き合っているっていう話題。伊藤って妹も女優さんで、芸能一族を広げていく星の下にいるんですかね? で、イワクラのことも本当に好きなわけでしょ? 一途に。だから好感度も高いっていう。一応、大鶴肥満に確認したら「伊藤さんは一途で……」って言ってて。なんだよ!と思いましたけど。

蓮見 いいじゃないですか(笑)。

井口 一途じゃなければなんか言えたのに。で、ティモンディ高岸はプロ野球選手になって。それもうらやましいし。

飯塚 え、「うらやましい」なの? 「俺も付き合いたい」はわかるけど、「プロ野球選手うらやましい」はさすがに無理じゃない?

井口 高岸が今まで見た人の中で一番デカいんですよ。完全にアスリートだし、お笑いでも活躍してて、うらやましいじゃないですか。

飯塚 シンプルにうらやましいんだ(笑)。嫉妬とかじゃなくて。

■ ニューヨークよ、よしもとのライブを盛り上げるな
飯塚 けっこう話題になっていましたが、「2700八十島のメンタルの話」というライブを配信で観ました。心の病気でしばらく休んでいた八十島さんが、そのとき脳内で何が見えていたかをお笑いのトークで事細かに説明してくトークライブで、笑えるし、単純に興味深いし、見たことないエンタメという感じで。エンタメと言っていいのかもわからないところではあるんですけど。

井口 休養する芸人も増えている中で、そういう話ってどこまでお笑いにしていいか難しいですよね。もちろん本人が笑ってほしいならいいんでしょうけど。

飯塚 BKBさんはじめ聞き手もみなさん優秀で、腐しすぎず、ちゃんと面白くコメントを挟んでいくんだよ。そういうことを笑いにしてほしくない人もいると思うけど、笑いにしてもいいんだっていう選択肢が生まれたという意味でも新しかった。これ、僕もそうなんだけど、屋敷さんが紹介しているので知って観た人も多いんじゃないかな。

井口 なんか、あいつすごいそういうのやってません? よしもとの注目ライブを広めたり、面白い人をピックアップしたり。

飯塚 すごくいいことじゃん(笑)。

井口 神保町よしもとの「花鳥風月」もYouTubeとかで大々的にやっていたじゃないですか。あいつがよしもとを盛り上げてるんだよなあ。

蓮見 怒ることですか?(笑)

飯塚 盛り上げるなってこと?

井口 盛り上げるな、よしもとのライブを!

飯塚 無茶苦茶だよ(笑)。屋敷さん、というかニューヨーク2人共だけど、野望があるんだと思う。芸人みんながプラスになるように働きかけている気がする。表立っては言ってないと思うけど、そういう強い意思を行動から感じますね。

■ なすなかにし、どんなロケでもオート操縦
飯塚 なすなかにしさんが「ラヴィット!」(TBS)でダブルグランドスラム達成、という話を。グランドスラムっていうのは月曜から金曜まで出演してコンプリートすることなんですけど、なすなかさんはロケでもスタジオでも月から金まで出て、“ダブルグランドスラム”。今、自分が担当している番組にもめちゃくちゃなすなかさん出ているんですよ。「ヒルナンデス!」「ニノさん」「ゼロイチ」(日本テレビ)。フリー素材化している(笑)。例えばですけど、ダウ90000が“お野菜のロケ”に行くってなったら視聴者は「なんで?」ってなるじゃないですか。やっぱり、その人が行くのにふさわしい理由が必要で。

蓮見 ああーなるほど。「野菜ソムリエの資格を持っている」とかがないと難しいってことですよね。

飯塚 そうそう。でもなすなかさんって「ロケに行く」が芸風だから、どこにでも行けるんですよ。

井口 確かに。なすなかさんが出ていても「なんで?」とはならないですね。

飯塚 テレビのスタッフは、誰がボケるのか、誰が仕切るのか、その芸人さんのことをわかっていないと台本を書くのに迷うわけですよ。でも、なすなかさんは全部オート操縦でやってくれる。呼ぶ理由は「ロケの達人だから」でいいし、スタッフ的にも苦労しない。最強のロケ芸人だなというのを改めて思いましたね。

■ バラエティに出たくないハマカーン神田の面白さ
飯塚 おじさん芸人の活躍という流れで、「しくじり学園 お笑い研究部」(テレビ朝日・ABEMA)のハマカーン神田さん回は観ました?

蓮見 あ、面白かったです!

──バラエティに出たくないという神田さんを掘り下げていった結果、逆に今の時代にフィットするバラエティ特性が次々と見つかるという内容でした。

飯塚 それこそ出川さんがおっしゃっていましたけど、“嫌がってる人”って面白いんですよね。神田さんが、バラエティは苦手だ、出たくないというスタンスを取れば取るほど面白くなっちゃっているという矛盾も含めて見応えがあった。テレビとかバラエティとか、芸人の根本を考えさせられるような回でした。

井口 川瀬名人も最初「バラエティに出ない」で注目されていましたよね。本当にそれでもう出なくなっちゃったのはもったいないですけど。

飯塚 出たて頃の坂上忍さんとか、マツコ・デラックスさんとか、迎合しようとしてない人って面白い。

蓮見 最初ずっとテレビで怒っていましたもんね。

井口 神田さんは芸人なのにそのスタンスっていうのがすごい。でも、今後はどうするんでしょうね?

飯塚 自分のやりたい路線だけをやっていきたいか、人から評価されて、それを自分の満足に変えられるかで違ってきそうだけど。今回の「しくじり」で、こんなにみんなが喜んでくれるんだって思えれば考え方も変わるのかもしれないよね。人を楽しませたいとか、笑わせたいっていう気持ちはずっと持っているんだろうし。

■ ダウ90000は「ラヴィット!」に出られるか
──せっかくの機会なので、蓮見さんから何かこの場で話しておきたいことはありませんか?

蓮見 7月に始まった「アルコ&ピースのメガホン二郎」(テレビ東京)がめちゃくちゃ面白いです。出たいです。

飯塚 本当ですか? テレ東の板川(侑右)さんから速攻オファー来ると思います(笑)。

蓮見 それこそ「お芝居みたい」って言われているので……。

※編集部注:「メガホン二郎」の初回企画は「映画みたいなネタですねって言われたネタが本当に映画になるのか1回考えてみた」だった。

──放送作家の目線で、ダウ90000をバラエティ番組に呼ぶというのはハードルが高いのでしょうか?

蓮見 僕は「ラヴィット!」にうちの女子が出ているのを見たいんですけど、さっきおっしゃっていた話を聞いてまだまだ難しいなと思いました。僕らがロケをやるってなったときに、誰が回すかわからないし、誰がどうしゃべるかも浸透していないから、台本を書きにくいんだろうなって。でも、どの芸人さんも最初はみんなそうじゃないですか。とくにコントの人は。みんなどうやってロケに出られるようになっていくんですか?

飯塚 取扱説明書になるような番組に1回出ると変わりますよね。「この人たちってこういうふうに面白いんだ」ってテレビマンが一度に共有できる番組に出ると広がるかもしれない。今のところ、まだ誰もダウ90000がロケに行きたいと思っていることすら知らないと思います(笑)。

蓮見 そうですよね(笑)。

飯塚 あと下手にロケに起用して、ファンの方から「ダウ90000の使い方をわかってない!」って言われたら怖いなっていうのもあるし……。

蓮見 たまにテレビに出させてもらうと、本当に気を使ってもらっちゃってて。「これは……あんまりやりたくないですよね?」みたいな。でも基本的に嫌なことはないんです。よっぽど面白くならなそうなことじゃなければ。

飯塚 ベタなことで言うと、モノマネとか、8人でやる集団芸とかがあると起用しやすいのかも。

井口 ほかのメンバーもけっこう変な奴なんでしょ?

蓮見 元子役でハッピーセットのCMに出ていた人とか、徳島から出てきて片付けられなくてゴミ屋敷に住んでいる人とか、いるにはいるんですけど、自分でそれを言う能力とかもまだないですし、今出てもできないことのほうが多いですね。

飯塚 事務所の先輩とか、「こいつら、こういうところがあるんですよ」って説明してくれる人がいるといいですよね。

井口 事務所の先輩は誰?

蓮見 勝俣(州和)さんがいらっしゃいます。挨拶だけはしたことがあるんですけど。

飯塚 勝俣さんのYouTubeに出るとか。

井口 「かっちゃんねる」ね。

飯塚 「勝俣かっちゃんねる」はみんな見てますから。

■ 井口から後輩へ、僕との日々忘れないで
──説明する役目を井口さんがやるというのは?

井口 え、僕が? なんで僕がダウ90000を説明しないといけないんですか? 知りませんよ。

蓮見 (笑)。

井口 やってもいいけど、恩に感じてほしい。僕のこと言ってくれる後輩がいないんだよ。どのインタビュー記事見ても誰も僕の名前を出してないんだから。

飯塚 東野さんとか先輩からは言ってもらえるけど、確かに後輩からは言われてないね。

蓮見 でも、実際言われちゃったらやりづらくないですか?

井口 全然うれしいよ! 「実はいい人」とかどんどん言ってくれよ。

飯塚 じゃあ、井口くんを本当にリスペクトしている後輩がいたら、この記事の引用RTで井口くんへの感謝を書いてもらおうよ。

井口 そうしましょう。後輩が載っている記事とか全部読んでますけど、「学生お笑いのときの仲間と今一緒にできてうれしい……」じゃないんだよ! え? 僕との日々は? 忘れちゃった?

蓮見 身に覚えはあるんですか? 「あいつこのエピソード持ってるぞ」っていうのは。

井口 あるある。若手と一緒にやってるライブなんて、僕が全部スケジュールも決めてるし、おごったりもしてるんだよ?

蓮見 あはははは(笑)。おごったりもしてるんですね。

井口 ストレッチーズにも散々やってきたのに、「ツギクル」の優勝記事見ても一言も言ってなかった。「日曜サンデー」(TBSラジオ)でも言ってないし。ひどいよ! 一番ひどいのは、XXCLUBの大島が「『トークサバイバー!』(Netflix)の続編があったら井口さん絶対合いますよね」って言ってたらしいと人づてに聞いていたんですけど、YouTubeではモグライダー芝さんとランジャタイ国崎さんの名前しか挙げてなかったっていう。

蓮見 かわいそうすぎる……(笑)。

──では出尽くしたようなので、最後に私の気になったことを。この連載の取材でもたびたび話している、井口さんが激ハマりしていることでおなじみの東野幸治さんのYouTube「東野vs」に先日井口さんが出演していたじゃないですか。東野さんに「今度は僕の連載に出てください」って言ってくれましたか?

井口 いや? 言ってませんけど。

──なんで言わないんですか!

飯塚 僕も、言ってもいいのになって思ってました。

井口 やばい、因果応報になってきてる(笑)。だって変じゃないですか。

──全然変じゃないですよ! 記事の内容に通ずる話もしていましたし、その流れでお誘いしてみてもよかったと思います。

井口 わかりました、わかりました。またなんかあったときに言っときますよ。

蓮見 言わなそう(笑)。

──お願いしますね。

井口 いやあ、でも今回はゲスト来たからハリが出ましたね。

蓮見 ありがとうございました。もし「キングオブコント」優勝したらもう1回呼んでください!

飯塚 優勝したらこんなところに来ている場合じゃないです! 「ワイドナショー」(フジテレビ)とかに出てください。

井口 優勝したら、僕は「ほらな!」とは言います。

蓮見 井口さん、まだ準決勝までしか予想してないですからね?

飯塚 僕はダウ90000が気になるって言っておく。

蓮見 誰か「優勝する」って言ってください(笑)。

■ 蓮見翔(ハスミショウ)
1997年4月8日生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部在籍時に演劇サークルを立ち上げ、2020年にダウ90000として活動を開始。2021年9月上演の第2回本公演「旅館じゃないんだからさ」が「第66回岸田國士戯曲賞」最終候補に選出された。2022年5月には初単独ライブ「10000」を開催し、6日間で16ステージを完走。「第43回ABCお笑いグランプリ」ファイナリスト。「AuDee CONNECT」(TOKYO FM ほか)水曜を紗倉まなと共に担当している。YOU GO sign所属。

■ 井口浩之(イグチヒロユキ)
1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年、2013年の「THE MANZAI」認定漫才師、2020年「M-1グランプリ」ファイナリスト。2011年からラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信している。9月11日(日)に東京・新宿ロフトプラスワンで公開収録イベントを開催。タイタン所属。

■ 飯塚大悟(イイヅカダイゴ)
1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」(TBS)、「トークィーンズ」(フジテレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。参加している「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)が9月9日に発売される。

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