【「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」評論】初代ガンダムの「小さな物語」を翻案 市井の子どもたちにスポットをあてる(映画.com)

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出典元:映画.com

「ククルス・ドアンの島」は、1979~80年に放送されたテレビアニメ「機動戦士ガンダム」第15話のサブタイトル。アムロが無人島で元ジオン公国軍のドアンと交流するエピソードで、全体の流れから独立した1話完結の物語だったため再編集版の劇場3部作では省かれていた。そのエピソードを翻案し、「ガンダム」でアニメーションディレクター・キャラクターデザインを務めた安彦良和監督が単独の長編アニメとして新たに制作する。巨大IP「ガンダム」シリーズの第1作だから成立しうるアクロバティックな企画だ。

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 ドアンが子どもたちと密かに暮らす無人島を捜索していたアムロは、ドアンが操るザクと遭遇しガンダムを失ってしまう。ホワイトベース隊からはぐれてドアンと過ごすことになったアムロは、ドアンと一緒に暮らす子どもたちがジオン公国軍に親を殺された戦争孤児であることを知る。

 物語の骨格は踏襲しつつ多くの面でボリュームアップが図られ、元エピソードには登場しないシャア・アズナブルも登場。3DCGで制作されたモビルスーツによる迫力の地上戦も大きな見どころだ。全体のディテールをしっかりとみせるケレン味あふれるアクションは、あえてモビルスーツの全容を見せないことで兵器としての恐怖を演出した「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」と好対照のアプローチで、最新のロボット表現を堪能することができる。

 もっとも心に残ったのは、孤島での日常の場面だった。ドアンと暮らす子どもの数を元エピソードの4人から20人に増やし、彼らの自給自足生活に多くの時間がさかれている。水を引く装置の不具合を直すために水源へ向かうところなどは「北の国から」を思わせ、子どもたちの豊かな表情と生き生きとした姿は見ているだけで楽しい。劇場版から省かれた「小さな物語」をよみがえらせ、市井の子どもたちにスポットをあてたところに安彦監督の「ガンダム」観がみえた気がした。

(五所光太郎)

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