オーディションと“こつこつ”について、小川絵梨子・倉持裕・西沢栄治が思いを語る(ステージナタリー)

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出典元:ステージナタリー

新国立劇場演劇 2021 / 2022シーズン「イロアセル」「あーぶくたった、にいたった」の合同取材会が本日9月13日に東京・新国立劇場にて行われ、演劇芸術監督の小川絵梨子と「イロアセル」の脚本・演出を手がける倉持裕、「あーぶくたった、にいたった」の演出を担当する西沢栄治が登壇した。

【画像】小川絵梨子(他4件)

「イロアセル」は小川が芸術監督就任と共に打ち出した支柱の1つ、「演劇システムの実験と開拓」を実践する、出演者全員をオーディションで決定する“フルオーディション企画”の第4弾。また「あーぶくたった、にいたった」も、小川が立ち上げた作品創造プロジェクト“こつこつプロジェクト─ディベロップメント─”から生まれた公演だ。

冒頭で小川は、「芸術監督を引き受けさせていただいた理由の1つが、作り方の実験、開拓をやってみたいということでした。ですので、フルオーディション企画とこつこつプロジェクトをこれまで続けてこられたこと、こうして作品をお届けできることをありがたく感じます」と両企画への思いを語った。

フルオーディション企画については「我々の意図ではないのですが、今年はコロナ禍の影響でフルオーディション企画を1年で3本やることになりました。そのことで劇場として学ぶことも多かったですし、個人的にうれしいなと思っています。オーディションのやり方には改善すべき点や難しさもありますが、劇場としては良い役者さんたちにたくさん出会わせていただき、財産になっています。今のところ1年に1本のペースですが、今後は少し(回数を)増やしていきたいと考えています」と展望を語る。

こつこつプロジェクトについては、「こちらもどうしてもやりたくて始めた企画です。第1期(2019年3月~2020年3月)は、西沢さんと西悟志さん、大澤遊さんの3名に、1年間で3つのステップを踏みながら作品と向き合い続けていただきました。表に出るかどうかわからないものに時間やお金を投資することは、難しい部分もありますが、1年間で役者さんが変わっていき、作品自体も変わっていくのが面白かったです。“すぐの成果”は出にくいかもしれませんが、焦ると失うものもたくさんあると思うので、ゆっくり時間をかけてこのプロジェクトが素敵なものだと言うことを伝えていかないといけませんし、今後も続けていきたいと思っています」と話した。

続けて倉持があいさつ。倉持は第一声で「フルキャストオーディションに興味がありました」と言い、「演出家やプロデューサーの頭の中だけでキャスティングを考えるやり方だけでなく、オーディションでキャストを決めるやり方もやってみたいと思っていたところで今回のオファーをいただいて、うれしかったですね。ただやってみたら大変でした(笑)。役を獲りに来る俳優さんたちのエネルギーはすごいですし、最終審査が近付くにつれ、甲乙つけがたい役者さんのどちらを採るかによって、作品の方向性そのものが変わる場合があるので、オーディションの段階で作品の方向性まで考えないといけないというのは、つらかったです。ただ、『本当はこういうのがやりたかったのか』という意外な発見もあり、楽しい経験でした。これから稽古に入りますが、稽古でも想定外のことが起きるんじゃないかと楽しみです」と笑顔を見せた。

西沢は「元来こつこつやるのが苦手なタイプなので、『なんで僕に声がかかったんだろう』と思いつつではあったんですけど……(笑)。でも稽古と発表を重ねていくうちに、芝居自体の強度が上がっていきましたし、1回目の発表ではわからなかったようなところに到達したと思うので、私にとってはとても良かったと思います。普段は初日ありきで、1カ月短期集中で全体を作っていきますが、出会って燃え上がってワーっという恋の良さもありますけど、結婚して長く付き合う中で出てくる味もあって。両方愛でどっちも良いな、という感じがしますね(笑)」と作品への“愛”を自身の表現で語り、場を和ませた。

質疑応答では、なぜその戯曲を選んだかという質問がそれぞれの演出家に寄せられた。倉持は「『イロアセル』は僕が10年前に新国立劇場に書き下ろした台本です。今回、フルキャストオーディション企画の作品として小川さんと劇場の方に提案され、最初はちょっと驚きました。言葉の匿名性について書いたもので、『今、通じるかな』と思いながら読み返したら、けっこう面白かったんですね(笑)。当時は東日本大震災が起きた直後で、それまで友達同士のやりとりぐらいだったSNSが、原発や政府に対する声を上げる場になってきた頃でした。現在はコロナ禍でオリンピックもあったので、匿名の言葉の塊がより進んでいる感覚があります。また“力を持った人たち”も、言葉の塊を利用するようになってきたのではないかと。今この作品をやることでまた感じることがいろいろあるのではないかと思い、『イロアセル』を選びました」と語った。

西沢は「別役実作品は観たこともなく、やるとも思っていなかったのですが、読んでみたらアクロバティックな迷宮が潜んでいて、迷い甲斐があるぞと。別役作品の中で小市民シリーズと言われる『あーぶくたった~』は、目立つこと、派手なことをよしとせず、こつこつと日々の暮らしを生きてきた人たちを描いた作品群です。小市民と言うと、個人的には親のことを思い出してしまうのですが、そんな思いと演劇の在り方が結びつけられた感じがしています。また劇中に『風が吹いているね、運動会は終わったんだよ』というセリフがあるのですが、オリンピックが終わったあとに何を置き去りにしてきたのか、という私なりの日本人論みたいなところにたどり着けたらと思います」と意気込みを語った。

続けて記者から、これまでのフルオーディション企画の集客について問われると、「後半に向かっては伸びています。ただ集客については作品の力を信じるしかないと思っています」と小川。それを聞いた倉持が、「フルオーディション=あんまり知名度のない役者さんたちの企画、となるのは面白くないですよね。みんながオーディションを受けるのが当たり前になって、結果、誰もが知っている良い役者さんが役を得るってことになる、ってこともあって良いと思いますし」と言うと、「心強くて泣ける!」と小川は倉持に頭を下げつつ、「こつこつプロジェクトもそうですが、“企画”としてオーディションがあるんじゃなくて、オーディションがあることが通常であるような、そういう状況にしていきたいです。それが私の代だけでなく今後も続いていってほしいんです」と、小川は言葉に力を込め、会見を締めくくった。

「イロアセル」は11月7日から28日まで、「あーぶくたった、にいたった」は12月7日から19日まで、どちらも新国立劇場 小劇場にて。「イロアセル」は10月2日10:00、「あーぶくたった~」は11月7日に一般前売りをスタートする。

■ 「イロアセル」
2021年11月7日(日)~28日(日)※7日はプレビュー公演。
東京都 新国立劇場 小劇場

作・演出:倉持裕
出演:伊藤正之、東風万智子、高木稟、永岡佑、永田凜、西ノ園達大、箱田暁史、福原稚菜、山崎清介、山下容莉枝

■ 「あーぶくたった、にいたった」
2021年12月7日(火)~19日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場

作:別役実
演出:西沢栄治
出演:山森大輔、浅野令子、木下藤次郎、稲川実代子、龍昇

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