【国立映画アーカイブコラム】デジタル技術で甦る、フィルムの色彩(映画.com)

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出典元:映画.com

映画館、DVD・BD、そしてインターネットを通じて、私たちは新作だけでなく昔の映画も手軽に楽しめるようになりました。 それは、その映画が今も「残されている」からだと考えたことはありますか? 誰かが適切な方法で残さなければ、現代の映画も10年、20年後には見られなくなるかもしれないのです。国立映画アーカイブは、「映画を残す、映画を活かす。」を信条として、日々さまざまな側面からその課題に取り組んでいます。広報担当が、職員の“生”の声を通して、国立映画アーカイブの仕事の内側をご案内します。ようこそ、めくるめく「フィルムアーカイブ」の世界へ!

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 国立映画アーカイブは近年、デジタル技術を用いてさらに一歩踏み出した映画の復元に取り組んできました。画面の揺れやフリッカーを安定させたり、フィルムに焼き込まれたゴミの除去(パラ消し)ができたりと、デジタル復元には、多くの制約があるアナログ復元とは異なり、さまざまな利点があります。

 特に、映画完成当時のオリジナルの色彩を可能な限り再現する際に、デジタル技術は大きな役割を果たします。例えば、フィルムは色の成分によって褪色の進行具合が違ってきます。特定の色やコマの一部だけに褪色補正を施すことは、アナログ復元では難しいものの、デジタル技術を活用すれば行えるのです。

 2015年度に当館でデジタル復元をした「千人針」(三枝源次郎監督、1937年)は、色彩の再現という点から見ても、デジタル復元の新たな可能性を見出す重要な作品となりました。

 大日本天然色映畫社製作「千人針」のデジタル復元が実施されたのは、可燃性フィルムがロシアの国立フィルムアーカイブであるゴスフィルモフォンドで見つかったことがきっかけでした。海外に残存する日本映画の収集は、当館の重要な活動のひとつ。ロシアから日本へは可燃性フィルムの輸送ができなかったのですが、 ゴスフィルモフォンドが作成したフィルムのデジタルスキャンデータを送信してもらうことで、日本で作業に取りかかることができました。復元の元素材を自分たちの目で確認することが叶わない状態での、異例のデジタル復元でありました。

 1895年に映画が生まれた時から、人々は白と黒が織りなす世界に色彩を加える工夫をしてきました。無声映画の時代には、フィルムの一コマ一コマに手で着色したり、フィルムを染料に浸して染色したり、また、白黒フィルムの銀(黒をなす黒化銀の粒子)を、鉄やウラニウムに変化させてシアンやオレンジといった色彩を表す調色など、現像後のポジフィルムに処理を加える手法が取られました。その傍らで、カラーの劇映画が一般化する1950年代までのおよそ60年、現実に近い色の再現を目的に、科学的アプローチでフィルムに色彩を記録する再現方法も着々と研究が進み、数多のカラー・プロセスが生み出されていました。

 フィルムのカラー表現は、三原色から成り立っています。三原色とは、混合してあらゆる色を表現できる三つの色のこと。重ねるにつれて明るくなる=白に近づく、光の三原色である加色法のRGB(赤・緑・青)、重ねるにつれて暗くなる=黒に近づく、色の三原色である減色法のCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)が知られており、現在流通しているカラーフィルムは減色法です。

 このCMY三色を用いたカラーフィルムが普及する前の時代には、二色式カラーの方式がいくつも試されてきました。「千人針」は、数ある二色式カラーのひとつで作られています。

 「千人針」の二色式カラーの方式は、撮影時に二種類の白黒ネガフィルムを使用します。まず、赤・緑・青の光の内、赤に感光しないオルソクロマチックフィルム(以下、オルソ)を赤に染色し、それをパンクロマチックフィルム(赤・緑・青の全てに感光する白黒フィルム。以下、パンクロ)と重ねて撮影します。前者には緑から青の波長のみが記録され、そのフィルムを通過した赤の波長のみが、後者に記録されます。この二本のネガフィルムを、両面に乳剤が塗布された特殊なポジフィルムに焼き付けます。次に、オルソから得た面をウラニウム(オレンジ色)に、パンクロから得た面を鉄(シアン)に調色し、最後にウラニウムの面を赤染色します。

 こんなに手の込んだ方法でカラー映画が作られていたことがあったのかと驚いてしまいますね。三色式が一般化すると二色式は廃れ、この方式も結局のところ国内ではほとんど採用されることがありませんでした。遠い昔の技術ゆえに、精通した専門家ももうおりません。

 復元作業に参加した映画室の主任研究員・三浦和己さんは言います。

 「通常、映画の復元時には作品の製作スタッフや、経験的・技術的な知見を持った方に監修に入っていただくのですが、『千人針』ではそれができませんでした。そのため、監修者もいない中で、技術的に整合性の取れた正解はどこかという客観的な判断をする必要がありました」

 そこで、IMAGICAエンタテインメントメディアサービス(当時はIMAGICA)の技術協力を得て、どのような復元方法が可能かを探るために二色式の仕組みを調査・研究しました。その結果、二色式では生成不可能な色を明示するシステムの開発に成功します。三色式カラーに比べ、二色式は表現できる色の幅が限られています。デジタルではどんな色彩も自由に作り出せますが、ここではそのデジタル技術を「色表現に制限を課す」ために活用したのです。

 映画製作には、映像の色・階調を調整する“グレーディング”と呼ばれる工程があります。「千人針」のデジタル復元では、グレーディング時に用いるための専用LUTを作成。LUTとは、Look Up Tableの略で、入力と出力の関係を表す対応表です。例えばWEB公開用のデータ、DCP、35ミリプリントなど異なるメディアで、プロジェクターでの投影やモニターを介して見ても、同じ色に見えるよう変換する際などに使用します。このLUTを応用し、二色式カラーでは表現不可能な色の領域の値が入力されると、モニターに映された映像の該当部分がビビッドな緑色になるように設定した専用LUTを開発しました。こうして、専用LUTが警告を発した色域を使用しないようにグレーディングが行えるようになったのです。

 色の幅を制限するためにLUTを用いるという取り組みは世界的にも高い評価を受け、その成果をまとめた論文はFIAF(国際フィルムアーカイブ連盟)の機関誌「Journal of Film Preservation」に掲載されました。映画フィルムが本来生成できない色を特定した上で、グレーディング時にその領域を採用しないように制限を加える手法が、二色式にとどまらず、三色式や、単色の染調色フィルムの復元にも有効なアプローチとなりうることを示した、重要な仕事となりました。

 「千人針」で開発された専用LUTのシステムは、翌年に国際交流基金の協力を得てKADOKAWAが行った「浮草」(小津安二郎監督、1959年)のデジタル復元で応用されました。「浮草」は、ドイツのアグファ社が発売したカラーフィルム(アグファカラー)を使用しています。アグファカラーは、赤の発色が特徴的なフィルム。復元では“小津の赤”と呼ばれたような、固有の色彩をいかに忠実に再現できるかがポイントとなったものの、広く普及しなかったアグファカラーでは参照できる色見本に乏しく、グレーディングの方針を定められませんでした。ところが幸運なことに、「浮草」ではアグファカラーのフィルム特性が文献で数値として残されていたのです。そのため、それを基にアグファカラーの色域(表現できる色の領域)を確認し、アグファカラーの発色の特性を確認できる専用LUTを作ることができたのです。数値上からアグファカラーの特性を踏まえた上で色調整が行われたのはこれが初めてでした。

 300本以上の劇映画でタイミング(監督やカメラマンが意図した色彩や濃度に近づけるための色調調整)を担当してきた当館技術職員の鈴木美康さんは、デジタル復元されたこれらの作品を見て、こう思ったそうです。

 「『千人針』は、現代の目で見ると色は鮮やかではないし、人物や草木の色は十分に表現されてはいないけれど、白黒映画しか見られなかった時代の当時の観客が、この色のついた映像を見たらすごく感動しただろうな、と思いました。今の我々の感じ方とは全く別だったはずですし、1937年当時によくここまで作り上げたなと感じました」

 「『浮草』は、実は、数値を基にして当時の色でカラーチャートを置き換えたとき、びっくりしたんです。あまりにも色が無くて、白黒にちょっと色がついただけのように見えて。でも、ある程度の長さでシーンを再現してみると、人物の肌や着物の色もはっきりしていて、印象的な赤色が目に飛び込んできて、きちんとカラー作品として見られる映像になっていた。その差に驚きました。そういう意味では、科学的な根拠に基づいて作っていくのは大事なことだと感じました。感覚だけに頼ると、間違いが起きる。かといって、感覚を無視するのもよくないので、両方を大切にすることが重要ですね」

 三浦さんは、「これまで色彩の再現においては、監修者の記憶に基づくものや、文献情報が基になっていることがほとんどでした。だから、フィルムが持つ物質的な情報や数値データを基に技術的な根拠を作って、それを復元に生かすということはこれまでそんなにやられていませんでした」と、試みの新しさを語ります。

 「デジタル復元は、できることが増えたプラスの部分もあれば、どこまでもできてしまうがゆえにゴールをどこに置くかという問題が、より重要な論点となってきています。例えばデジタルリマスターの“鮮やかに蘇る”といったキャッチコピーでは、画質・音質はより良くなっているとされます。ただ、もしかするとそれはオリジナルよりも鮮明な映像になってしまっているかもしれない。私たちは、オリジナルは何かということをゴールにしたい。こうした技術・経験に基づく復元に、エンジニアリング的なアプローチで補強する試みは、次に繋がる一歩になったと感じています」

 半世紀以上昔の作品をオリジナルの状態で再現するために、デジタル技術がいかに頼れる存在かを、今回のコラムを通じて少しでも知っていただければ幸いです。

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