国潮の反映、2つの美学、表情システムの利用 3DCGアニメ「ナタ転生」制作背景を明かす特別映像入手(映画.com)

出典元:映画.com

中国で興行収入70億円を突破した「白蛇 縁起」の制作スタジオ「追光動画」が4年の歳月をかけて製作した3DCGアニメーション映画「ナタ転生」(公開中)の制作背景を特集した映像を、映画.comが独占入手した。

 題材となる“ナタ”とは、「封神演義」に登場し、3000年以上前の世界で絶大な権力を持つ一族・東海龍王の息子・三太子に歯向い死闘を繰り広げた7歳の少年神のこと。本作では、ナタが「現代に生きていたら?」という考えをベースに、東洋の美学とナタが持つ反骨精神の“パンク要素”を融合。今回は4つの項目に分け、「ナタ転生」の魅力を解説する。

■目指したのは国潮を取り入れた「中国らしい映画」

 国潮とは「中国の伝統文化の要素と現在の潮流を組み合わせてトレンド感を出す」という意味で、中国の若者の間でブームとなっている。監督のチャオ・ジーは「中国の伝統要素を取り入れた若者向けの映画を制作したい」と考え、悩みに悩んだすえ、ストーリーの中枢である主人公には、中国神話の中でも人気があり、現代にも通ずるパンク要素を持つナタに決定。既存のナタのイメージを覆すために、伝統的な部分と現代的な部分を融合させ、従来にない新しいビジュアルイメージのナタを生み出した。

 ナタの特徴である鎧と火尖鎗を金属製にすることで、クールかつ自由な現代の若者らしさを表現。また、車やバイクにはアール・デコの設計を取り入れ、当時の文化をオマージュしてみせている。ナタが転生した青年・李雲祥(リ・ウンショウ)は「反骨精神旺盛なバイク好きの青年。他人が敷いたレールの上で走ることを嫌い、自分のやりたいことをやり、正しいと思うことを行う無骨な性格」と表現したチャオ・ジー監督。こうして自分の道を突き進みながらも、国潮を取り入れた主人公像が完成した。

■2つの美学を取り入れた新しい世界観

 舞台となる東海市の設定は、東洋と西洋、それぞれの美的センスを組み合わせた世界観。東海市は貧富の差が激しく、貧困地域では水不足に悩んでいるが「大規模なバイクレースサーキットが設置されている」「機械的な要素(スチームパンク、サイバーパンク)が多い」という特徴を有している。また、街並みは20~30年代の民国時期(1912~49年の期間)に多く見られた建物が数多く立ち並んでいる。

 一方、高級住宅街にある龍族の屋敷は西洋風に作られ、アール・デコなどの要素も取り入れられた。これは、20年代のマンハッタンを参考にして制作されたもの。登場人物の服装や生活スタイル、車なども2つの文化を対比させることにより、双方の環境の違いが色濃く映し出されている。

■最新技術「表情システム」を使用

 4年の歳月をかけて制作された「ナタ転生」。16年にはコンセプトを固め、17年からビジュアルリサーチを開始し、サイバーパンクについての膨大な資料を追求している。そして、主人公には従来のナタのイメージに加えて、古い絵画や仏像、現代の“芸能人”要素も取り入れることになった。

 19年5月には、複雑な感情表現を可能にするためアニメーション制作のシステムを再構築し、改良を行っている。その結果、口の微妙な動きでも、より繊細な感情を表現することに成功。登場人物全員が金属的な要素を持ちつつも、血の通った人間らしい表情を見せている。

 20年4月には「追光動画」独自のデータベースを作り上げ、場面ごとに建物などの要素を抽出・選択し、自動的に街を作り上げるアルゴリズム(Generated Assets&Shots)を完成。この技術により、CG制作が一気に加速している。

■未来の世代に送る「新しいナタの物語」

 ナタを題材にした小説、映画は、昔から人々に親しまれている。最初に登場した古代小説「封神演義」から3000年を超えた現在でも変わらずに愛されているが、時代の移ろいによって、ナタに対する人々の解釈はだんだんと変化していった。

 今回「追光動画」が制作した「ナタ転生」は、神や宇宙の世界観を取り入れ、最新の技術を用いて作り上げた「新しいナタの物語」だ。完成した新封神の世界は、中国アニメーションの新しい扉を開き、現代に生きる若者や、これから生まれてくる未来の世代にとっては、本作に登場するナタのイメージが“中国神話に登場するナタ”として定着していくだろう。「追光動画」は、これからも中国神話に登場する神々の映画の製作を予定。未来の世代の“神”に対する価値観を変えていくことを目指している。

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